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ホーム >> 石の本の紹介 >> 晴彫雨読 No.41-60 >> No.47 石仏巡り入門
晴彫雨読No.60 あなたの石

 還暦と昔から言う。西洋でも時計などで、60進法がひと巡りする数として使われている。長い間、この紙面をお借りして「石の本」のご紹介を連載させていただいたが、一区切りの60回を迎え、あまりボロが出ないうちにおしまいにしようと思う。
 最後のご紹介は「あなたの石」。著者は2002年小説すばる文学賞を受賞した関口尚氏。1972年生まれと言うから私より20も若い。石材に携わる若い世代の方々に「石」対する感性をもっと豊かに磨いてもらいたいという願いを込めて、最後の一冊に選んでみた。
 出版されたばかりの小説なので興味を損なわない程度に内容をご紹介すれば、主人公の「僕」がアルバイトでつとめる「石の花」という石を売るお店を舞台にした、お客や店員を巡る青春純愛小説である。場所は盛岡。小説に登場する鉱物の様々な物語やエピソードを交え、ストーリーは展開していく。仙台や福島県の鉱物採取場も登場して、個人的にはとても身近に感じられ、あっという間に読み終えてしまった。私もまだ若かりし頃、30年前の感覚に立ち戻ったような切ない思いにしばしさせられた。
 物語の最後シーンに主人公と彼女二人で、彼女が以前つきあっていた彼のお墓参りにいく場面がある。
「なんで人は石をお墓に選ぶんだろう」
「人の死の歴史って石と密接な関係があるのかもしれませんね」
「でも、生命が石から生まれるという伝説もあるんだよ。だから石は命が最後に還っていく場所という風にも考えられるけど、命が生まれる母胎というふうにも考えられるんじゃないかな」
「きっと石は安息への願いをいちばん託しやすいものなんじゃないかな」
 このせりふをより深く感じていただくためには、本書を最初から読んでいただかねばならない。

 石材業界は目先の現象だけみれば、「厳しい」「大変だ」の一言である。
しかし、「石と人間の特別な関係」は時代の潮流に流され切れることなく、綿々と続いている。今回取り上げた若い小説家にも石に対する想いがあり、重要な小説のモチーフになっているように、その特別な関係を一人ひとりがどのように意識するか、とても大切な事になってくるに違いない。
 われわれ石材業界人は、未来に向かって案外いいポジションにいるのかもしれない。心からそう思えるように、石を見つめ直す作業を繰り返している私である。

本のデータ
書籍名/あなたの石(2004年)
編 者/関口 尚 
体 裁/B6版 347ページ
価 格/1800円
発行所/集英社 TEL03-3230-6393



 石の本リスト
 晴彫雨読 No.1-20
 晴彫雨読 No.21-40
 晴彫雨読 No.41-60
  No.41 謎の巨石文明と古代日本
  No.42 子ども美術館8
  No.43 眠る石
  No.44 石の考古学
  No.45 石造文化
  No.46 日本の美術 城の石垣と...
  No.47 石仏巡り入門
  No.48 中欧・墓標をめぐる旅
  No.49 碑刻
  No.50 石の文化誌
  No.51 鉱物・書物の王国6
  No.52 石垣普請の風景を読む
  No.53 インカを歩く
  No.54 当尾の石仏めぐり
  No.55 近江石の文化財
  No.56 石の説話
  No.57 ヨーロッパの始まり...
  No.58 おかやま・石のこころ
  No.59 死者のホンネ・英国...
  No.60 あなたの石


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