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ホーム >> 石の本の紹介 >> 晴彫雨読 No.41-60 >> No.47 石仏巡り入門
晴彫雨読No.55 近江石の文化財

 石屋がつくる気持を捨ててしまったのはいつのことだったのだろうか。いつの間にか、石屋が石という素材から離れ、体から会得した感覚より、「商売」としての知識やテクニックを重視し、頭だけで理解しようという風潮が主流を占めている業界になってしまった。
 混乱した石材業界に危機感を感じ、秩序を取り戻そうと活動中の協会すら、墓石を正しく扱うにはまず「教養」「知識」ということで、学者先生の指導のもと、われわれ石屋が苦手とする宗教や民俗学的な「お墓の知識」の収得を求めている。急にそういわれて、乗り遅れまいと資格取得に躍起になっている石材業界。知性、教養は確かに必要だけど、どこかがおかしい。
 ここに今回ご紹介の一冊がある。「近江 石の文化財」という近世までの石屋が、ごく普通にやっていた石屋としての仕事を一地方の郷土史家がまとめた労作である。内容的には滋賀県内に現存する街や村落によく見られる墓石、供養塔、灯籠、石垣、道標といったさまざまな石像物800点の写真を種類ごとに分類し、その意味や石像物にまつわるエピソードを施主の立場から解説的に記されてある。切削機や研磨機など機械がなかった時代、その地方の石屋が直接手をかけた石像物を豊富に紹介。現代の石材業界が見失っている石屋の原点を考えるうえでの貴重な参考書。宗教や民俗の知識はどれほどだったか不明であるが、施主の祈りや願いを受け止め、「石」という素材に託した当時の石屋の心意気や技術の粋がしのばれる。
 施主が石屋に期待し、仕事として発注する動機は何なのだろうかと最近考えることが多い。
 独断だが、それは施主の大切な祈りや願いを託す「石」という素材のプロであり、作り手としての確かな良心や経験に裏付けられた技術ではないだろうか。施主の安心や安穏を石屋の力を借りて永遠の石にゆだねたい。そういった施主の切実な期待に応える技量が求められているのではないかと思いたい。そうでなければ、異業種参入が止まらない石材業界にあって、石は知らなくても宗教的な知識に勝る葬送のプロ軍団に飲み込まれてしまう運命にある。
 知識偏重の傾向が、石材業界を墓石流通業界へと変質させ、石の仕事が石屋の手から離れていってしまう状況をさらに加速させるのではないかとひとり気をもんでいるわけだが、危惧に終われば幸いである。「さてさて困ったことには、知っていることは何にも役に立たず、肝心なことは何にも知らない」ゲーテ作品「ファースト」に出てくるファースト自身の言葉である。

本のデータ
書籍名/近江石の文化財(2001年)
著 者/瀬川欣一 
  体 裁/A5版 401ページ
価 格/3000円
発行所/サンライズ出版 TEL0749-22-0627



 石の本リスト
 晴彫雨読 No.1-20
 晴彫雨読 No.21-40
 晴彫雨読 No.41-60
  No.41 謎の巨石文明と古代日本
  No.42 子ども美術館8
  No.43 眠る石
  No.44 石の考古学
  No.45 石造文化
  No.46 日本の美術 城の石垣と...
  No.47 石仏巡り入門
  No.48 中欧・墓標をめぐる旅
  No.49 碑刻
  No.50 石の文化誌
  No.51 鉱物・書物の王国6
  No.52 石垣普請の風景を読む
  No.53 インカを歩く
  No.54 当尾の石仏めぐり
  No.55 近江石の文化財
  No.56 石の説話
  No.57 ヨーロッパの始まり...
  No.58 おかやま・石のこころ
  No.59 死者のホンネ・英国...
  No.60 あなたの石


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