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ホーム >> 石の本の紹介 >> 晴彫雨読 No.41-60 >> No.47 石仏巡り入門
晴彫雨読No.54 当尾の石仏めぐり

 石材業界も他の産業同様、中国製品があふれている。形や様式はますます手の込んだものになり、技術的な善し悪しは別にしても、気の遠くなるような手のかけようである。
 中国にも古くから石材加工に対する伝統があり、数千年前から近代のものまで、各地に見事な石像物が残っている。現在は日本向けの石材加工で中国の伝統技が花開いた、ということであろうか。  
 知らず知らず、日本のお墓や石像物の様式や加工感覚が、中国流儀にすり替わってきているように思え、日本の石材業界もそれを至上のものとして受け入れているようである。
 日本にも、たくさんの古い石像物がある。鎌倉時代の東大寺再建を境にして、それまではどちらかというと朝鮮半島から影響を受けた石像物から、南宋の石工、伊行末らを迎え、彼らが活躍する流れになってくる。今回、取り上げた本は、当時の石工がつくった石像物がいまでも残っている京都、東南端・当尾地区の石像物の紹介と案内をかねた「当尾の石仏めぐり」。
 浄瑠璃寺、岩船寺といえば、少しでも石仏に興味のある方にとっておなじみの地区である。永年、当地区に通い詰めた著者が、そこに残る石仏の一つひとつと対峙して、石像物からにじみ出てくる石の表情を写真に写し取った名著。石と向き合った当時の石職人の心情を思いやりながら、長年の風月を経てかもし出される石像物の微妙な風合いをくみ取ろうとしている著者の温かなまなざしが感じられ、是非石材業界の皆さんにもふれていただきたいと思い、取り上げてみた次第。
 この本にある石造物は日本人としてどこかほっとさせられる。石造物の柔らかな表情や、石に向かう控えめな態度がそう思わせるのかも知れない。強引に石をねじ伏せるのではなく、石にという自然そのものに対して、人間としての謙虚な気持ちでそれらの石造物に働きかけた当時の石工の心配りが見られるのである。
 日本の石材人がけしかけるからなのであろうが、中国でつくられた現代の石像物、特に墓石類は、不必要に磨き上げられ、ますます流麗華美を競い合っている。なんか違和感を感じるわたしは感覚が狂っているのかしらと思うこのごろ。
 日本の風土にあった石使いの原点に出会ったような今回の本を手にして、とても救われた気持になれた一冊である。

本のデータ
書籍名/当尾の石仏めぐり(2000年)
著 者/中 淳志 
  体 裁/A5版 92ページ
価 格/1200円
発行所/東方出版 TEL06-6779-9571



 石の本リスト
 晴彫雨読 No.1-20
 晴彫雨読 No.21-40
 晴彫雨読 No.41-60
  No.41 謎の巨石文明と古代日本
  No.42 子ども美術館8
  No.43 眠る石
  No.44 石の考古学
  No.45 石造文化
  No.46 日本の美術 城の石垣と...
  No.47 石仏巡り入門
  No.48 中欧・墓標をめぐる旅
  No.49 碑刻
  No.50 石の文化誌
  No.51 鉱物・書物の王国6
  No.52 石垣普請の風景を読む
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