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ホーム >> 石の本の紹介 >> 晴彫雨読 No.41-60 >> No.47 石仏巡り入門
晴彫雨読No.49 碑刻

 中国の石材加工に対する進化の度合いは著しく、最近はインターネットの原稿やりとりで、文字彫刻までも中国発注するご時世である。これからの日本の石屋さんは、注文を取って取り付けをするだけの範囲に押し込まれてしまうような勢い。作る手間を最大限に減らし、その分営業に力を注いだ方が、経営効率が良いということなのでしょうか。もうこの潮流に今更逆らってみたところで、どうにもならないところまで来ているようである。
 今回紹介の本は、このような石材業界の姿勢に衝撃を与えるような内容をもって迫る一冊。タイトルは「碑刻」。著者は、石に文字を刻む、碑刻という芸の魅力にとりつかれ、東大の大学院を投げ打って、碑刻技術の研究と習得に努めているという人物。その熱意というか使命感に燃えた記述は、現在の職人から商人に変身してしまった石材業界では、どれだけ受け止めきれるだろうか。
 石に文字を刻む行為は、昔から「神聖な行為」であると言い、選ばれた石に書家の文字をもって、書家・刻者の「精神性」を刻むのが本来の姿であると、本書では数多くの実例写真や解説文で訴えかけている。単にサンドブラストでなぞったようなものは「死碑」と言いきり、書家を名乗る文字に出会ったりすると、刻んだ刻者を嘆くのではなく、書家の良心に問いかけている。
 本書では、手彫り彫刻のさまざまな種類やその技法を詳しく紹介しているばかりでなく、江戸一の大石屋であったという谷中の広群鶴や、井亀泉・宮亀年といった当時の秀でた石職人たちについても詳しく記述してあり、われわれ石材業界の「バイブル」的価値をもった良書。
 本書では碑刻に関する精神的な記述に多く紙面を割いているが、別の著書である「碑刻手帖」では、より具体的に碑刻の技術・技法が解説してある。このような本に初めて出会った私は、ただならないものを感じ、思わず著者に電話をしてしまったほど。残念ながら「碑刻手帳」は絶版になっていて、手に入らない。
 手彫りの文字彫刻は、現在では失われてしまった石工の技術と言っても良い状態。このような刺激的な書物を読んでしまった後は、現在の字彫り技術の主流をなしているサンドブラスの文字彫刻が、碑刻に対する大切なものが欠落して「石に唯単に穴をあけている」状態に思えて、何ともしがたい心持ちである。
「碑刻手帖」の中で著者は、「『碑も時代の児』たとえ死碑であっても、それが現代の実相であるとすれば仕方がない。しかし私は、次に脱皮し出現してくる碑に大いなる期待をもっている。そのための手助けになれば」と述べており、この言葉に何となく救われた気分になっている。それは碑刻の世界ばかりでなく、石材業界自体の救いの言葉としてとらえているのだが。

本のデータ
書籍名/碑刻(2003年)
著 者/森 章二
体 裁/A5版 295ページ
価 格/5500円
発行所/木耳社 TEL03-5276-9003



 石の本リスト
 晴彫雨読 No.1-20
 晴彫雨読 No.21-40
 晴彫雨読 No.41-60
  No.41 謎の巨石文明と古代日本
  No.42 子ども美術館8
  No.43 眠る石
  No.44 石の考古学
  No.45 石造文化
  No.46 日本の美術 城の石垣と...
  No.47 石仏巡り入門
  No.48 中欧・墓標をめぐる旅
  No.49 碑刻
  No.50 石の文化誌
  No.51 鉱物・書物の王国6
  No.52 石垣普請の風景を読む
  No.53 インカを歩く
  No.54 当尾の石仏めぐり
  No.55 近江石の文化財
  No.56 石の説話
  No.57 ヨーロッパの始まり...
  No.58 おかやま・石のこころ
  No.59 死者のホンネ・英国...
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