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晴彫雨読No.46 日本の美術 城の石垣と堀

 江戸開幕400年を迎え、各地でお城の改修が盛んなようだ。日本の城の美しさは世界一であるという。全体としての眺めさることながら、石垣や櫓や城門まで本来は軍事施設でありながら、外見の美にこだわりをもって築かれているからであろう。屋根の形やたった一つの鉄砲穴にさえも美しさと実用性が巧みに工夫されている。

 今回のご紹介は、敵の防御に欠かせない城の石垣に標準を当て、石積みの美的な謎を解く「城の石垣と堀」。お城全体の美術書は数多く出版されているが、石垣に限定して美術的見地から編集されたものはあまりない。石積みの美しさに注目していたひとりとして、このように日本美術の一端に位置づけられまとめられていることに、喜びを禁じ得ない。監修は文化庁である。

 中身は、多くの写真とともに、石積みの歴史から、採石、運搬、石材の加工、石垣の基礎や勾配、構造と、石垣の全てを解説。最近の石垣改修にともなう発掘調査資料もふんだんに取り入れられ、石積みの構造や考え方がよく分かる内容となっている。特に発掘調査された基礎や裏込めの工法などは、石材業を営んでいる我々には必見の書である。先人の見えない箇所への心配りや創意工夫が随所に記されており、学ぶべき点が多くあると感じさせてくれる好書。また、解説として石垣の符号や石垣の技術者についての興味深い文章を載せており、石材関係の専門書としても大いに価値のある一冊である。

 最近の擁壁工事は中国製の間知石が広まっているようである。なるべく現場で手間が省けるよう、素人でも簡単に積めるようコンクリートブロックのように成形されているものを積むのであるが、積みあがったものをみると、石積みの美しさからはほど遠い。同じ石積みなのになにが違うのだろう。結局、石積みの美しさは、石のひとつ一つに積んだ人々の意識や工夫に通じているものであり、積み手の石に対する見立てやバランス感覚、労苦を感じさせるもの。石積みに関わった人々の注いだ膨大なエネルギーや深い洞察が、見る人の感性に響いてくるものなのであろう、と感じている。簡単とか省力などとは対極な位置に「美」がある。

 石積みの場面ばかりでなく、最近の石の仕事に「美」を感じさせるものが少なくなった、と思うのは私1人だけであろうか。
 
本のデータ
書籍名/日本の美術 城の石垣と堀(1999年)
著 者/田中哲雄 著
体 裁/価格1571円
発行所/至文堂 TEL03-3268-2441



 石の本リスト
 晴彫雨読 No.1-20
 晴彫雨読 No.21-40
 晴彫雨読 No.41-60
  No.41 謎の巨石文明と古代日本
  No.42 子ども美術館8
  No.43 眠る石
  No.44 石の考古学
  No.45 石造文化
  No.46 日本の美術 城の石垣と...
  No.47 石仏巡り入門
  No.48 中欧・墓標をめぐる旅
  No.49 碑刻
  No.50 石の文化誌
  No.51 鉱物・書物の王国6
  No.52 石垣普請の風景を読む
  No.53 インカを歩く
  No.54 当尾の石仏めぐり
  No.55 近江石の文化財
  No.56 石の説話
  No.57 ヨーロッパの始まり...
  No.58 おかやま・石のこころ
  No.59 死者のホンネ・英国...
  No.60 あなたの石


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