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晴彫雨読No.44 石の考古学

 本誌の読者は墓石関係に携わっている業者が大多数ではないかと推定しているが、世界で一番お墓にお金をかけ、石を使う国が日本ではないだろうか。ご先祖様対しての畏敬の念がそれだけ強い民族、というのは建前で、実は涙ぐましい石屋さんの努力のたまもの。私自身、日本人がどうしてこれほどお墓づくりにこぞって精力を注ぐのか良く理解できていない。見栄を張るなら他に方法がありそうな気もするが。

 前置きのこの辺にして、今回のご紹介は、われわれの仕事、お墓の源流となっている古墳に関係する本。古墳全体の研究ではなく古墳に使われる石室、石棺、古墳全体を覆う葺石などの「石材」を切り口にして、古代史の謎に迫った「石の考古学」。調査対象が古墳の石や古代から中世の石造物であることから文化財であることが多く、石を削ったり欠いたりすることは許されず、そのままの状態での「見た目」で石を鑑定し、使われた石材の岩石名、産地などを比較研究し本書にまとめたユニークな一冊。

 石材の産地を特定するということは、当然、当時の石切場を探り当てたり現在の採石産地を数多く確認しておくことが必要となってくる訳で、著者の専門である岩石についての深い知識もさることながら、著者のフィールドワークに対するエネルギーの凄さを想像すると本書の内容的な意義深さが理解できる。たとえば近畿地方にある何とか古墳の石棺が九州のどこ地方から採れた石ということを特定し、そこから当時の権力構造や物流、技術水準といったものを推測していくといった具合。高野山にのこる石造物からは750年前の神戸の御影地区や牟礼半島の石が確認されており、当時から石工集団がいたことを証明している。

 考古学とは、現代に遺った遺物や遺跡によって、古代人の意識構造や生活文化を研究する学問であるが、当時の石工が作った石室や石棺、あるいは石造物が考古学の重要な研究対象となっている事実にいささか複雑な心境である。何百年後か何千年後、まだ考古学という学問が存在しているとすれば、表だけ豪華で、本来墓の機能を満たすべき納骨部分が、粗末なものはコンクリートや無機質な機械加工の石材で作られた現代のお墓は、果たして研究対象としてどんな分析がなされるのであろうか。案外、現代人の精神構造を如実に表現しているといえば言えなくもないが。

  本のデータ
書籍名/石の考古学(2002年)
著 者/奥田 尚
体 裁/B6版 242ページ 価格2300円
発行所/学生社 03-3857-3031



 石の本リスト
 晴彫雨読 No.1-20
 晴彫雨読 No.21-40
 晴彫雨読 No.41-60
  No.41 謎の巨石文明と古代日本
  No.42 子ども美術館8
  No.43 眠る石
  No.44 石の考古学
  No.45 石造文化
  No.46 日本の美術 城の石垣と...
  No.47 石仏巡り入門
  No.48 中欧・墓標をめぐる旅
  No.49 碑刻
  No.50 石の文化誌
  No.51 鉱物・書物の王国6
  No.52 石垣普請の風景を読む
  No.53 インカを歩く
  No.54 当尾の石仏めぐり
  No.55 近江石の文化財
  No.56 石の説話
  No.57 ヨーロッパの始まり...
  No.58 おかやま・石のこころ
  No.59 死者のホンネ・英国...
  No.60 あなたの石


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