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ホーム >> 石の本の紹介 >> 晴彫雨読 No.41-60 >> No.43 眠る石
晴彫雨読No.43 眠る石

 人類の歴史は石器つまり「石」で始まっている。旧石器時代、サルから人類に「進化」した証として石器が重要な証拠品として扱われているからである。どうやら人類と石の関係は現代人が考えているよりも相当奥が深く、人間の感覚や意識の根底に脈々と受け継がれているものらしい。

 今回、採りあげた本は世界各地に残る石造物の遺跡や寺院などにまつわる15編の物語を現代によみがえらせた「眠る石」。商売には全く関係はなく、純粋に石にまつわる物語を楽しみたい方にのみお薦めの一冊。読んでもなんの得にもならないので念のため。

 採りあげられている物語は7世紀のタマラカン砂漠に建つ建築物や9世紀建立のジャワの仏塔など地域は東南アジアから中国、中央アジア、ヨーロッパの範囲に及び、物語の時期も中世から現代までと実に幅広い。著者の旺盛な知識欲が各物語の随所に伺い知れ、当時を物語る想像力は石に対する人類共通の感性が流れているという確信に満ちているようである。石に対するイメージ、「神」「永遠」「死」「霊力」などが各物語の切り口になっているようである。現代に残る現実の遺跡や寺院、建築物は単なる形だけのものであるが、このような物語を読むことによって、それらを前にしたときに建立当時情念を感じ取る力になり得るような気がしてくる。

 日本にも、謡曲で語られる栃木県那須野の原の「殺生石」の物語が残る。「石に精あり水に音あり風は太虚に渡る」、「殺生石」の石塊が謡うこの句は先史時代以前の人間の石に対する畏敬と崇拝に感情を語っている。石の精を主題にしたこの物語は最後には仏法に調伏したふたたび沈黙にかえるのというものである。他にも今思い出せないが、日本各地に多くの石にまつわる伝承が残っている。

 この著者の卓抜したところは、このような伝承を多分、現地の研究員も及ばないくらいの綿密な調査と想像力で一編一編の物語にしたところにある。「竹取物語」に「石作皇子(いしづくりのみこ)」という人物が出てくる。かぐや姫に求婚するのであるが、この人物が石工と関係があるのかどうかは、私は知らない。


本のデータ
書籍名/眠る石(1993年)
著 者/中野美代子
体 裁/A5版 161ページ 価格1700円
発行所/日本文芸社 03-3294-8931  



 石の本リスト
 晴彫雨読 No.1-20
 晴彫雨読 No.21-40
 晴彫雨読 No.41-60
  No.41 謎の巨石文明と古代日本
  No.42 子ども美術館8
  No.43 眠る石
  No.44 石の考古学
  No.45 石造文化
  No.46 日本の美術 城の石垣と...
  No.47 石仏巡り入門
  No.48 中欧・墓標をめぐる旅
  No.49 碑刻
  No.50 石の文化誌
  No.51 鉱物・書物の王国6
  No.52 石垣普請の風景を読む
  No.53 インカを歩く
  No.54 当尾の石仏めぐり
  No.55 近江石の文化財
  No.56 石の説話
  No.57 ヨーロッパの始まり...
  No.58 おかやま・石のこころ
  No.59 死者のホンネ・英国...
  No.60 あなたの石


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