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晴彫雨読No.37 石の表情

 石はいわゆる一般的な「商品」とか「物」とは違うとよく言われるが、なにがどう違うのだろう。何となく感覚的に解っているような気がしても、明確な言葉として出てこない。

 最近、石という素材について考えていることがある。「商品」は売り買いされるときに一番良い状態で買い手に渡る。デパートの売場や車のショーウインドーなどでも、いかに「商品」良く見せるかが勝負である。売り買いされたときが一番良質であり、次第に劣化したり質が悪くなったりして、価値が下がってくる。

 石も確かに商品のようにお金でやりとりされている。他の「商品」と違うところは、石という素材は設置されたり据えられたりしたときが始まりで、時間と共に石がその場になじんできて、その場の質感そのものを高めていく素材であるということである。当初ピカピカに磨かれた石材製品であっても、あるいは割りっぱなしの石であっても、次第に新鮮さは失われるが、替わりに石本来の持っている味わいや表情が出てきて、その場の空間そのもの質をより上質に転化させてくれる素材であるという視点を持つようになっている。敷石や石垣のある風景、道ばたに祭られている信仰の石、無垢材を使った建築物、丁寧につくられた墓所、墓石。神社や寺院の石造物。

 今回のご紹介は「石の表情」。著者は富山県在住で日本石仏協会でも活躍されている方である。全国にある石造物を写真と共に著者の一言コメントが添えて紹介してあり、全部で175編の集成である。もともと「北日本新聞」連載された記事で、本書のために全国的にバランスをとって編集された。われわれが見過ごしてしまいそうな石の細かな表情を写真に写し取って紹介してあり、著者の繊細な感性を感じさせる好書。石の造形物に寄せられた簡潔なコメントも、石を長く見据えてきた著者の博識や経験が光っている。石造物として完成度の高くないものにも、微笑ましい視線を送っており、何となく気が休まる本である。新書版なので、旅先に忍ばせて拾い読みしてもよい。

 「われわれ石屋の仕事は後まで残る仕事だからやりがいがある。」という言葉を何度か耳にしたことがある。こんな本に出会うたび、変なごまかしや中途半端なことは出来ないと思わせれる。「仕事ぶり」も確かに残るが、その場の質を下げてしまうような「石屋として恥ずかしい仕事」もいつまでも残るからである。


本のデータ
書籍名/石の表情(1992年)
著 者/京田良志(きょうだ りょうし)著
体 裁/新書版 190ページ 価格824円
発行所/桂書房 TEL 0764−34−4600


 石の本リスト
 晴彫雨読 No.1-20
 晴彫雨読 No.21-40
  No.21 インド巡礼の道
  No.22 写真でわかる謎への道...
  No.23 南イタリア 石のすまい
  No.24 巨石文化の謎
  No.25 石に聴く 石を彫る
  No.26 日本石仏辞典
  No.27 新・石の文明と科学
  No.28 石仏と石塔
  No.29 聖なる石に出会う旅
  No.30 石臼の謎
  No.31 石の夢
  No.32 ミステリーストーン
  No.33 石と建築
  No.34 墓と石塔
  No.35 石屋の小僧が彫刻家に...
  No.36 石−伝説と信仰
  No.37 石の表情
  No.38 石の街並と地域デザイン
  No.39 石の星座
  No.40 アンコールの神々

 晴彫雨読 No.41-60

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