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晴彫雨読No.34 墓と石塔

 私も商売柄、墓地に足を運ぶ機会が多い。皆さんの地域の墓地はどうだか解らないが、私の地域のところは、まるで中国製品のオンパレード。狭い墓地に目一杯、過剰なくらいの装飾とともに隙間なく、石材商品が設置されている。まるで日本と中国の商魂が、凝結しているかのような光景である。こんな状況も、中国から安価な石材商品が大量に流入し始まったここ10年ぐらいが、特に顕著のようだ。

 仏教も含めて殆どの宗教において、墓地はもともと、人間が大地にかえる神聖な場所であるという認識を示している。そして、そこに建てられる石塔は、本来、先祖を供養し感謝する精神をつちかう神聖な仏塔としてまつられている。中世期にかたちづくられた五輪塔や宝篋印塔などは、現代にいきる人々の精神にも共鳴する伝統的な仏塔であるといって良い。

 今回取り上げた本は、現代における宗教的な意味を問い、人々の清浄心を養う仏塔づくりを探求した「墓と石塔」。この種の本は、どこか特定の墓相学の手引き書だったり、業者の宣伝媒介書だったりする例が多いが、本書は珍しく(?)ドイツに留学して航空機などの高速内燃機関の研究していた、工学博士によって記された純粋な仏塔研究書である。全編にわたって学者としての探求心によって培われた仏塔研究に対する著者の純真な心情が伝わってくる好書。現在の石塔や墓所造営に物足りなさを感じている方には、絶対お薦めの一冊である。 

 序文の紹介によれば、ヨーロッパ滞在中にヨーロッパやエジプトなどの中近東諸国にも足を運び、石造建築に興味を覚え、聖なるものへの憧憬の念が高じて、仏塔を中心とする石造美術の研究に精進することとなった、とある。著者の様々な人生の体験の中で、日本の文化を再認識し、日本人としての誇りに目覚め、日本人的な造形美を仏塔に反映させようとした著者の機械工学を基礎とした美意識が新鮮である。

 「墓塔の造立は、子孫がその前に立って自然と手を合わせる気持ちになるような荘厳さと極致の美を備えたものでなければならない」、著者の根元的な仏塔の思想は、どこか商業主義のにおいのするニューデザイン型墓石や中国製の既製墓石商品が立ち並ぶ現代の墓所に対して、退局に立場にある。依然としてというより、ますます業者の商魂顕著な現代の墓所造営にあって、このような仏教精神に基づく先進文化の向上発展に尽くそうとしている方もいることを、どこか頭の片隅にでもおいていただければ幸いである。


本のデータ
書籍名/墓と石塔(1989年)
著 者/三井「円(みついちょうえん)著
体 裁/B6版 140ページ 価格1300円
発行所/知道出版 TEL 03−3715−9725
連絡先/三石造形芸術院 TEL 0552−76−9276


 石の本リスト
 晴彫雨読 No.1-20
 晴彫雨読 No.21-40
  No.21 インド巡礼の道
  No.22 写真でわかる謎への道...
  No.23 南イタリア 石のすまい
  No.24 巨石文化の謎
  No.25 石に聴く 石を彫る
  No.26 日本石仏辞典
  No.27 新・石の文明と科学
  No.28 石仏と石塔
  No.29 聖なる石に出会う旅
  No.30 石臼の謎
  No.31 石の夢
  No.32 ミステリーストーン
  No.33 石と建築
  No.34 墓と石塔
  No.35 石屋の小僧が彫刻家に...
  No.36 石−伝説と信仰
  No.37 石の表情
  No.38 石の街並と地域デザイン
  No.39 石の星座
  No.40 アンコールの神々

 晴彫雨読 No.41-60

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