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晴彫雨読No.25 石に聴く 石を彫る

 最近、われわれ石材業界もモニュメント制作や石彫に関わる機会が多くなっているようである。造形に携わる専門家の持つ石に対する柔軟な感性に、石の素材感を見失っているわれわれ業界人は教え諭される部分が多々あるわけであるが、今回は自らノミを振るい、真摯に石と向き合う木訥な石彫家が「石を彫る意味」を書き記した本を取り上げてみた。「石に聴くー石を彫る」(關 敏 著)がそれである。

 著者は1930年生まれ、芸大卒業後、彫刻家として主に石を素材として数々の作品や文学碑、石碑を手がけてきている。石の彫刻家と称する方々の中にはデザインやコンセプトの形成のみに終始し、肝心のつくる作業の大部分を業者に発注するといった仕事をしているケースが少なくない。特に最近はやはり中国が手間賃が安いからといって中国の加工業者に図面発注している「彫刻家」もいると聞いている。ここまで事態が進んできたかと手軽に石彫作品ができてくる現実に唖然としている一人であるが、ここに記されている内容は、まさに自らの「生」を黙々と石に刻んできた人にしか語れない語句で埋められている。

 本書の構成は1石の文化と歴史、2石のかたち、3石を彫る4,石彫入門の4部構成となっている。 石の文化と歴史については、造形家としての見地から著者が訪れた世界各地の石造物について、著者自身のイラスト付きで述べている。当時の作り手を思いやる記述がいかにも著者らしくおもしろい。次の日本の石造物についての章では五輪塔や墓碑など著者が実際に制作するにあたっての考え方がそれぞれのエピソードを交えて記されている。第3章、石を彫るの章は本書の神髄。著者が制作してきた作品についての発想法やテーマの決め方、試行錯誤の過程がストレートにつづられていて説得力がある。最後の石彫入門では石工道具やそれぞれの仕上がり具合、加工プロセスがわかりやすく解説されている。案外、手加工の道具を手にしなくなった最近の「石屋」さんには初めて知る事柄が多いかもしれないと思った次第。

 最後に、本書では随所で石彫家の生の声がつづられているが、その一編を紹介する。「石の叫びは正直である。この無限に小さくなっていく彫るという行為に、石の声を聴き、集約された響きを感じながら仕事を続けるのである。」「自然に対する恐れが現代社会に失われつつあることが、人間自身の運命を左右するのではないかという危機感を常に抱いている。」

 我々、石に携わる者としてのみならず現代社会に生きる一人の人間として真剣に受け止めるべき著者からの渾身のメッセージが伝わってくる。  
 
本のデータ
書籍名/石を彫る(2000年)
著 者/關 敏著
体 裁/A5版 157ページ 価格2000円
発行所/里文出版 TEL03−3352−7322



 石の本リスト
 晴彫雨読 No.1-20
 晴彫雨読 No.21-40
  No.21 インド巡礼の道
  No.22 写真でわかる謎への道...
  No.23 南イタリア 石のすまい
  No.24 巨石文化の謎
  No.25 石に聴く 石を彫る
  No.26 日本石仏辞典
  No.27 新・石の文明と科学
  No.28 石仏と石塔
  No.29 聖なる石に出会う旅
  No.30 石臼の謎
  No.31 石の夢
  No.32 ミステリーストーン
  No.33 石と建築
  No.34 墓と石塔
  No.35 石屋の小僧が彫刻家に...
  No.36 石−伝説と信仰
  No.37 石の表情
  No.38 石の街並と地域デザイン
  No.39 石の星座
  No.40 アンコールの神々

 晴彫雨読 No.41-60

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